映画秘法『リプリー』83点
オジ(‐◎✹◎‐) サン流映画秘法採点「83点」
2000年の頃の映画館で、名古屋駅のどこか、今はもうない映画館だったはずだ。
『リプリー』を観た、観たはずだ。
記憶なんて曖昧なもので、もう20年以上前の話だ、曖昧なのが当たり前だ。
不思議な満足感、乾いているけど何か後味の悪い爽やかさ。
奇妙な感覚だけが残ったのを覚えている。
『リプリー』は『太陽がいっぱい』のリメイク作品。
さらに原作小説があり、それぞれラストが違う。
オジ(‐◎✹◎‐) サンは『リプリー』はあの最後が好きだ。
あのラストは結末が無い、そこが置きにいっている感もあるが、そこが良いところでもあるね。
だけど、耽美であるけど耽美だけでもない、サスペンス感もある、もともと100点目指す映画じゃない、それより大事な物があるだろう!!な!?という感じがある。
大事な点は主演の二人、若き日のマッド・デイモンとジュード・ロウである。
素晴らしいね。
ふたりともこの頃から全然違う感じになったけど、素晴らしい。
リバー・フェニックスを思い浮かべると涙が出るオジ(‐◎✹◎‐) サンだが、彼らのようにただ美しい瞬間がある俳優は本当に素晴らしいのだ。
マッド・デイモンはともかくジュード・ロウはさほど演技が上手いわけではないが、やはり逸材というのはこの映画でも充分伝わるだろう。
以外と最近ではこの映画は知られていないようだね。
いやーもったいないね。
この映画は実に映画らしいんです。
リメイク作品で、さらにかのアラン・ドロンの泣く子も黙る『太陽がいっぱい』のリメイクなわけだけど、きちんと美しく作られている、耽美さがある。
リメイクだから悪いってわけじゃないんだよね。
むしろリメイクでラストを変えたから、余韻がある。
そして原作から変わらない残酷な世界への怨嗟が良い。
世界を平等にするなんてのは妄想以下の最悪な思想なわけだが、平等ではない世界へ復讐するにはどうしたら良いのか?それが実は今世紀の隠しテーマなわけだよ君たち。
で、それは要は金を使わずにハッピーになることなんだよ。
世界は金を使ってハッピーになることを推奨しているだろ?
逆に金を使わずにハッピーになることを恐れているだろ?
散々貧乏であることは恥ずべきことで不幸せであるとしているだろ?
貧乏だから不幸せになるのじゃなくて、金が無いことで選択肢であるとか自由を得られないシステムが不幸を生んでいるんだろ。
だけどそれを言うと社会主義や共産主義の罠にはまりがちになるし、そこに個人の幸福が本当にあるのかという事がある。
そして個人の幸福とは現代ではミーイズムに集約されているが、ミーイズムは個人の幸福なのか?
我々の世界はミーイズム以上のものを持ちながらもミーイズムでしか納得できない、またはミーイズム以外の答えが削除されているのではないか?
それが地獄というわけで、この世とは地獄なわけだよ。
その地獄であることは『太陽がいっぱい』よりも『リプリー』の方が上手いこと描かれている感がある。
だからオジ(‐◎✹◎‐) サン的にはこちらをおすすめしたい。