映画秘法

映画雑感『ジョーカー』

オジ(‐◎✹◎‐) サン流映画秘法採点「98点」

どうしたもんかってのがこの作品。

あーでもやっぱ100点だな。

あーでもなーやっぱ限りなく100点に近い99.9点だな

ごめん、98点にするわ。

うーむ。

98点だな。

理由としては影響度、考察させる内容、それを高度のエンタメでまとめている点。

とは言えども、99点には届かないのはもう一つすっきり感というのか、観終わった後の味わいでもう一つ欲しい。

いずれにせよこの作品を高度に成立させているのはホアキン・フェニックスの力だね。

ヒース・レジャーの後にジョーカーをやるのは地獄だけど、それをここまでのものに仕上げたのはホアキン・フェニックスだからだよ。

逆にこれ以上のジョーカーが出せなくなったんだよな。

ヒース・レジャーのジョーカーと、ホアキン・フェニックスのジョーカー。

だけどまだハリウッドの底力があるとしたら、ジョーカーだよな。

絶望とカタルシスがあるからなぁ。

やっぱそうだな。

そういう素直さで観たいよね。

まだまだハリウッドは作品を作れるんだいってのがあるよね、ここに。

~以下過去雑感~

相変わらずここ数年間観ていない映画を観ているオジ(‐◎✹◎‐) サンです。

というわけで『ジョーカー』です。

社会問題級映画という事で期待値大です。

海物語で言えば魚群です。

で、観ました。

考察はすでに膨大にありますね。

大人気です。

ポイントは非常にわかりやすいというか、重要な部分は『タクシードライバー』と『キング・オブ・コメディ』という有名映画がポイントとなっています(どっちも昔に観たと思うけどだいぶ忘れてる)

実にいろいろとまとめられているので、いくつか観たら簡単に理解できるでしょう。

【考察】映画『ジョーカー』を評価できない理由。あらすじ/ネタバレ/解説まとめ

オジ(‐◎✹◎‐) サン的には考察案件そのものが最初から仕掛けらているもの、作り手からしたら「これぐらいお前らすぐわかるだろ」という仕掛け的になっていて、逆にそれ前提でやっている感すらありました。

で、わかるだろって事で言えば、わかるからどうなんだって事になります。

まずここで映画の解釈を分けるポイントが二つになりますね。

大まかに言えばアーサーの妄想がいつどこで、そしてどの範囲までが妄想か、という点ですね。

例えばラストの病院でのシーン以外が妄想であったとするのか、または劇中で「これは妄想です」と明確に演出されている部分(ソフィーとラブラブ等)だけを妄想とするのか。

この点で大きく二つに妄想ポイントが分かれるわけですが、じゃあ全部妄想でしたとなるとどうなるのか?

この映画の前提が『バットマン』に登場する悪役「ヴィラン」の一人の「ジョーカー」という登場人物の映画だってことです。

だけど全部妄想であったのなら、『バットマン』そのものはどうなるのか?

全て妄想説だとウェインも射殺されておらず『バットマン』は発生しない、または『バットマン』も全てアーサーの妄想となる。

で、妄想は一部分で概ねアーサーが引き起こした出来事で間違いな場合は、『バットマン』の発生はブルース少年次弟となるし、ウェインが射殺された時点でやはりバットマン化は既定路線となるだろう。

で、その答えは観客次弟なんじゃなかろうかと思うオジ(‐◎✹◎‐) サンです。

だって全ては主観でしょ?どっちが面白いの主観として?主観デショデショ説なわけですね。

まぁ全部妄想説だと、

①アーサーはどの時点でどういう経緯で収容されたのか?

②妄想に登場するもの全て妄想であるのかどうか確認は不可能

という点が疑問点になりますね。

だからオジ(‐◎✹◎‐) サン的には無理に全て妄想でした『バットマン』世界線崩壊ですねーみたいな事にする考えるのもあまり好きでも無いかもしれません、それは熱烈なバットマンファンだからというわけではなくて単に好みですね。

オジ(‐◎✹◎‐) サンはわかりやすいテンプレ的ダークナイト男子の心があるので、『ダークナイト』を守りたい全力ではぁと診療所です。

「な?だから『バットマン』は「妄想」というフィクションだろ?「妄想」という主観だけで全て成り立つ世界だというのなら『ダークナイト』のジョーカーもバットマンも妄想の中のフィクションなんだよ、そうなるとお前も含めて誰もがアーサーだよな?」って言われたら、まぁそうかもしれんがとりあえずお前はヒース・レジャーの墓前でお線香と仏花お供えして読経した上で土下座してこいバカですよ。

だけんども、やっぱし、どっちも有り、ありおりはべりいまそかりな物語のような気もしますね。

だからこそこんな時代にオジ(‐◎✹◎‐) サンはあえて言いたい。

この『ジョーカー』って映画はもっとストレートなんじゃなかろうかと。

どうも考察という趣味嗜好を満たすための映画鑑賞というものがネット社会でスタンダード化しまくってからはや20年か30年かって感じですが、そういうのじゃないだろ映画って、もっとストレートでもいいだろって囁くのよ私の中の押井守が。

じゃあ『ジョーカー』をストレートに観るとどうなるのか?

やっぱし社会的に断絶されがちの認知機能不全の存在は「モンスター」なのか?問題ですよね。

少し話は逸れますが『ブリキの太鼓』ってよくわからない映画を昔に観てかなり苦手だったんですが、あの映画の原作は精神病院で自分を語るという始まりだったんですよね。

『ドグラ・マグラ』も精神病院でのスタートとラストです(こいつの映画は枝雀が絶品)

『怪人マブセ博士』という古典もありますね。

主人公や語り手が精神病院に収容されている、という物語は構造的に物語の中の物語として記号化させる作用があります。

それが「現実」であるのかどうかの境界線が曖昧になるわけですからね。

なので登場人物や出来事などもそれをメタファーであるとかの記号としてわかりやすくなっているわけです。

まぁそれはともかくな閑話休題です。

とにかく世の中間違っとる!!もっとストレートで良いんだよストレートで。

あのさぁ、ですよ。

本来的に考察だの何だのっては、上等なものはせいぜいウイスキーのトワイスアップであり、楽しむとしてもドライ・マティーニを2杯ぐらいに止めておくべきものであって、フローズン・ダイキリをガバガバやるのも真夏の一番暑い日だけにしとけよ、ぐらいのもんでしょう。

でもヒドイものになるとワインにコーラ入れたら良いだろみたいなのありますが、そういうの嫌いオジ(‐◎✹◎‐) サン。

だからこそストレートですよストレート。

じゃあ『ジョーカー』のストレート味わってみると、これはまず格差社会だけで考えるとズレやすいんですよ。

やはり格差社会の中身、単に金の話じゃないって事ですね。

アーサーには格差がある、それは何か?

金だけじゃない、それ以外の人生のスタート時点でのハードルが存在するわけです。

それは全ての人が内包しているものでもあります。

今作ではアーサーとソフィが実は格差なんですね。

同じ低所得者向けアパートに住みながらも、決して恵まれた環境ではないであろう二人でも、かなり格差がわかるように描かれています。

ソフィは他人から気味が悪いとは言われません。

だけどアーサーは気味が悪いと言われます。

だけどアーサーはソフィに心惹かれる、それは明確に自分に無いものをソフィが持っていると認識しているからでしょう。

自分に無い物を持っているのがソフィであり、それが何か?というのがこの映画の鍵じゃないですかね。

親子というもので観ていきましょう。

これはもうストレートすぎるほどストレートですが、親殺しが出てきます。

わかりやすいのが母親でありますが、実の母親ではなくとも母親であった存在を殺す事で母がいないことになります。

そして父はウェインでは無いと判明したので、殺さなかったわけです。

かつて母と同居して虐待していたという男ももういません。

ですので父としてマレー・フランクリンがその役割を担うわけで、だから殺されたわけです。

アーサーは自分自身に他者との格差があり、それは他者と比較してコミュニケーション能力その他認知能力の不足や欠如であるという事がわかっている、だからこそ親殺し=生まれ変わりを目指す物語性になっているのでしょうね。

その欠如を生み出したのは母であったペニー・フレックであり、マレー・フランクリンはアーサーを笑い者にしたという事でその欠如によるコンプレックスそのものとなっているわけです。

ここでの親殺しは、コンプレックスとその原因を除去するという意味になり、親殺し後のアーサーは「笑う」というコミュニケーションの機能不全が治るわけです。

殺人によるコミュニケーションの機能不全の治療、という見方にもなるわけですね。

それぞれ殺害される者にも意味が存在していて、それは作中の「7種類の薬」を市の予算カットでもらえなくなるという事がありますが、それとも関係していると思われます。

アーサーが殺害(直接)した人数は、酔っぱらいリーマン3人とランドルとペニーとマレーとラストで暗示されているカウンセラーです。

それで7人。

そうなると薬の代わりに殺害?とも言えますね。

あ、なんだかストレートと言いながらかなり曲がりくねった解釈になってるぞ。

あれ?おかしいぞおかしいぞ。

オジ(‐◎✹◎‐) サンがおかしいのか?

おかしいよなオジ(‐◎✹◎‐) サン、すでに妄想のワールド突入してたかも。

あーしまったなー。

とりま続くにしておいて、今宵は雨、外は嵐、とりまここまでにしとうございます。

オジ(‐◎✹◎‐) サン