映画秘法『スターシップ・トゥルーパーズ』67点
オジ(‐◎✹◎‐) サン流映画秘法採点「67点」
ご存知我らがハインライン大先生の不朽の名作『宇宙の戦士』を原作に、一応はそうした体の宇宙歩兵残酷物語。
まぁストーリー詳細はWikiでも観てちょ、書いてあるから。
ていうか原作観ろお前ら。
展開的には原作の筋だけど、全然別物である。
監督と言えばバーホーベンオヤジである。
ご存知『ロボコップ』オヤジである。
偉大なバーホーベンではあるが、原作がつまらないからと第二章で投げ出したというので、そりゃ映画も何かこうなるよな感はある。
つまり原作の筋書きは使うけど、原作の主題は完全無視して、米軍海兵隊あたりのヒャッハー感と米軍並びに米帝的なものを皮肉ってる感を出したい屈折した団塊オヤジかお前は的な映画。
オジ(‐◎✹◎‐) サンは原作ファンだし、何なら子供に必ず読ませる本ベストテンに入れるぐらいだし、ていうかこれで読書感想文書いとけばよかった、ぐらいなもんですよアータ。
ていうかマジで原作は読んでおいたほうがいいよマジで。
基礎教養みたいなもんでしょ、これ。
村上春樹読んで国語力下げる暇があったら、これ読めよ。
やれやれ、またオジ(‐◎✹◎‐) サンの妄言か、と僕は思った、じゃねーんだよ。
『宇宙の戦士』と『月は無慈悲な夜の女王』と『夏への扉』はとりあえず義務教育で読ませるべきなんだよ、な?わかるだろ?
逆に言えばハインラインの作品ってのはガチンコSFというよりも、今現在としてはどちらかというと藤子不二雄的なラインにも近いものであって(ハインラインだけに)、あーSF読みてぇ脳のあたりに無駄すぎる人生でほとんど役に立たないであろう文字情報とにかくお脳のあたりにぶち込みてぇみたいな層には『かいけつゾロリ』ぐらいの効能しかない場合が多いんだよな(蛇足だが、あくまで年代的にそうなっていったというSFの宿命ってだけだぞ)
しっかしまぁ考えてみればトマス・モアじゃないけども、SFってのは思考実験的に考えた世界での思考実験的なシミュレート的物語というものでもあり、今となってみれば情報量的に物足りないからと言ってSFとして物足りないわけじゃございやせん。
そういう点ではバーホーベンって映画撮らせたらすげぇオヤジなんだけど、作品的にはそういう点の盛り込みが少ないよなって。
オジ(‐◎✹◎‐) サンは機動歩兵の機動歩兵たる所以のパワードスーツの点は目をつむる。
いや、違う、それは違うぞ、という血気盛んなハインライン愛好会からは2キロトン以下の威力の原爆ロケット打ち込まれそうだが、そこはハリウッドの事情とか何かあるってWikiで言い訳書いてあるぐらいなんだし、散々突っ込まれすぎてクロちゃんが何食ったのかって情報程度のシリアスさで考えようや。
だが、それを差し引いてもやっぱし原作が面白すぎて、原作を思うと『スターシップ・トゥルーパーズ』は60点台にしかできんのよな。
だけど映画単体で観ると普通に面白いものでもある。
宇宙で展開する戦艦と海兵隊みたいなのがエイリアンみたいな虫とガチンコ戦争するってのは、まぁ面白いわな。
だけどそれだと本家本元『エイリアン』ってものがあるわけで、ガチンコバトルって点ではあれには勝てない。
ていうか恒星間で移動して戦争する技術があるんなら、パワードスーツぐらい標準装備できるだろってやっぱ思っちゃうか、思っちゃうよな。
原作ではきちんと侮れないどころか凄く怖い超高度文明築ける虫が、怖さ的にエイリアンどころかドラクエのオオクワガタぐらいのもんになっちゃってる感しかないし、それもバーホーベン一流の表現だとしても、やっぱ原作ぶっ壊し感しか出てこないってのもあるわな。
まぁ原作での「敵」としての描き方もどうなんだってところだが、あれはどう読んでも「わざと」すぎるほどわざとなわけで、わざとらしい主題と対になっているわけだ。
それは文芸作品だから成り立つ技術みたいなものなんだよね。
ていうか原作できっちり説明されている点だけどさ、惑星破壊兵器つまり大量破壊兵器ってもんがあるとしても何で「歩兵」なのかって点が映画ではまったく理解できないというのか、どう考えても不条理にしかなってない点が減点要素でしかないんだよね。
「戦争」をするに値する「敵」がただの虫でしかない、としか映画では読めない。
そうなると必要なのは「殺虫剤」であって「歩兵」じゃないんだよ。
だけどそれもバーホーベンが描きたかったものでもあるとするならば、あまりに稚拙だろうし皮肉にはならない。
米帝の米軍の歩兵の行う戦争とは殺虫剤で退治すれば良いのにわざわざ高価すぎるアサルトライフルと世界最新鋭の高性能兵器で戦争に仕立て上げているんだ、と言うのなら別だけども。
そして、そう言いたいのだとしたらそれこそホワイトウォッシュどころじゃないよな。
まぁ稚拙としか言いようがないと言えば言いようがない。
米帝的なものなり戦争なりファシズムや全体主義や現実を皮肉的に描こうとして、逆にそれらが必要とし設定する「敵」であるものを逆説的に皮肉どころか差別でしかない描き方にしか出来なかった点は稚拙でしかないんだよ。
この映画を観て「あーこれはファシズムや全体主義や米帝への皮肉だね俺でなきゃ見逃しちゃうね」って感じで気持ちよくなってお風呂に入ってベッドインベッドでおやすみグッナイできる程度の人なら高評価ボタン連打できるから、それぐらいが幸せなんだと思う。
そして映画的ユートピア批判ってものがユートピア思想の本質からはずれまくる点を自覚できないのなら、実はそれこそユートピア的なディストピアにおける知覚認識思考そのものの罠にはまっている罠。
だけども、さんざん悪口書いておいてなんだが、映画単体で観るとそれなりに楽しめるのバーホーベンだなぁって点で60点はある。
ていうかあげたい。オジ(‐◎✹◎‐) サンの大事なものをあげたい、だってバーホーベンだし。
あとの7点はデニス・リチャーズが可愛いんだけどクソムーブかますのが面白いってところで。
個人的にはディナ・メイヤーだな。
そこがわからんのなら、帰ぇれ帰ぇれ。