映画秘法『眼下の敵』82点
オジ(‐◎✹◎‐) サン流映画秘法採点「82点」
オジ(‐◎✹◎‐) サンのルーツ的映画として一番思い出深いものの一つ。
なぜかVHSで録画されていて、これを繰り返し何度も観た。
小学校低学年でも理解できる面白さだったね。
戦争映画はこういうもので良い、というものでもあると勝手に思っている。
悲惨さを強調したから偉いわけでもないだろうとは思うが、『Uボート』は最高だったね。
ただ『Uボート』よりこちらは大団円的な終わり方なので、安心して観られる。
そういう意味でノーテンキさ、海の男のロマン的な面もあるけれども、50年代アメリカの映画としてのリアルさはあります、なんせ実物でやってるわけですから。
勝利者としての余裕がノーテンキさを生み出すと同時に、勝利者であるからこそある意味で客観的に観られる部分があるんだよね。
『Uボート』が負けた側の映画であり、その悲惨さがラストに来るわけだけど、そこで終わってしまうわけだ。
ていうかそこで終わらせるのが一番キレイで楽。
それは我が国においてもそうであって、栄光の帝国陸海軍であると同時に必ず悲惨さや何かしらの「悪」でなければならない、そのポジショニングで終わらせないと終わらない。
簡潔に言うと「批判者」としての目線が映画にないと成り立たないわけだね。
逆にまたそのポジショニングであれば成り立ってしまうわけで、その結果愚にもつかないような作品が生まれがちってのはまた別の話。
ハリウッド的第二次大戦映画ってのは、自分たちが正義だバンザイUSAヤッホーみたいなノリで作るとアホ丸出しだってのはアホでもわかる理屈だからこそやりにくいわけよ。
しかめっ面で戦争は悲惨なんですとやる方がどんだけ楽かってことで、だけど戦勝国としてはそれだけでも成り立たないわけだね。
そのバランスで戦場の悲惨な中で生まれる男のロマン的なところに落とし込めたら一番良いわけだね。
つまりは勝者の余裕として敗者も讃えつつ、やっぱUSAツエーしサイコーとなれば良いわけです。
『眼下の敵』ってのは個人的な人間ドラマを織り込みつつも、構造的にそういうところがあって、結果的に安心して観られる戦争映画になっているわけです。
50年代だとジョン・フォード御大もバリバリで戦争映画撮ってるし、米水軍の潜水艦モノと言えば『深く静かに潜航せよ』ってのもあるけど、現代でも面白く観られるってのは『眼下の敵』が一番かなと思う。