映画秘法『ドグラ・マグラ』91点
オジ(‐◎✹◎‐) サン流映画秘法採点「91点」
オジ(‐◎✹◎‐) サンのルーツ的映画としては二種類ある。
子供の頃(5歳~12歳)に観た映画。
青年期(15~20歳)に観た映画。
だいたいこの二種類で構成される。
不思議なことに中学生ぐらいで何を観たかはあまり覚えていない。
だいたいそれぐらいだと小学生の頃に観たものを繰り返し観たり、テレビ番組の方が影響が多かったりする。
高校生の頃は映画より本だったし。
で、『ドグラ・マグラ』は大学生の頃に観た。
ルーツ的な映画としては最終になる。
ありきたりなサブカル趣味でもあるが、自分というものを作り上がる時期が20歳ぐらいなわけで、ちょうど良かったんだろう。
もともと小学生の頃から読書趣味があり、結果的に文学部という超絶ラッキーな道に行けたわけだが、そうなると当然周りも同じような趣味の人間が多くて『ドグラ・マグラ』もその中の友人と観た。
今では気楽に手に入るわけだが、あの頃はVHSで探すのが大変で観るまでにそれなりに苦労した、友人が。
原作は当然読書済みなのでストーリーは全て熟知。
それよりも当時でも伝説的になっていた映像作品そのものに心惹かれた。
ていうかサブカル趣味っていうのか、やっぱそういう時期ってあるんだよ。
良いよなー戻りたいなー。
楽しかったよねー。
下宿の友達のところで酒のんでビデオ観て麻雀して。
酒タバコサブカルみたいなね。
なぜかやたら映画観てたのよ。
で、その中で燦然と輝くのが『ドグラ・マグラ』なんですね。
これ観てないとモグリだろ、ぐらいのね。
前衛映画監督にしてほぼ学者という感じの松本俊夫作品で、主演がアスベルというよりアシタカな松田洋治です。
そして室田日出男。
室田日出男というのは室田日出男としか言いようがないのが素晴らしいですね。
ていうか絶対この感じの方が室田日出男として素晴らしいのですが、やはり悪役然とした室田日出男も最高でそれはまた別の話。
そして桂枝雀。
桂枝雀師匠大暴れ、というのが映画版ドグラ・マグラという感あり。
この方がいなければ実写化は不可能でしたし、もうできないでしょ。
原作の正木博士って確かにこういうビジュアルなんだろうなって感もありますが、個人的には東條英機みたいな容姿を想像してたんですよね。
しかし結果的には桂枝雀師匠しかいないだろうって。
映像がまた素晴らしいんですよね。
もともとわかりにくいけど、イメージはしやすい大正末期レトロな感じが原作なのですが、その雰囲気が出まくりです。
そしてアングラ感というのか、良いんですよ。
それだけで原作好き、夢野久作ファンとしては感涙ですよ。
ストーリーは原作に沿ったもので、これ以上はまとめきれないよなってところになってますね。
大事なことは、この映画があってこの映画を観ることなんですよ。
それだけで価値がある、観るだけでも価値がある映画なわけ。
人生において、一定の時期にアングラ感とかサブカルに浸れるってのが良いんですよ。
厨二、高二病、どんとこいからのまったくもって無駄な領域で遊ぶのが良いんですよ。
それが贅沢ってもんでしょ。